新潟市による「第7回安吾賞」の授賞式が2013年2月23日、りゅーとぴあで行われました。受賞者の故若松孝二監督に代わり、「若松組」の俳優やスタッフらが壇上に上がり、「現場での怒りは激しかったが、同じくらい愛情も深い人だった」などと思い出を語りました。
授賞式典では「常識を疑い人間の本質を凝視する目は 批判を怖れぬ危険で強烈な作品を生み出し 生温い現代社会に檄を放ち続けました」と、自治体が贈る賞とは思えないほどの文面で若松監督をたたえた賞状を、若松監督の三女で若松プロの尾崎宗子プロデューサーが受け取りました。
第2部では、若松作品に数多く出演した俳優の井浦新さん、遺作となった「千年の愉楽」に出演した高岡蒼佑さん、若松監督の盟友で「キャタピラー」などで存在感を示している芸術家のクマさんこと篠原勝之さん、ここ10年来、若松組の撮影監督を務めた辻智彦さんが舞台あいさつ。
井浦さんは「俳優としてというより、人間若松孝二の生き方に引かれていった。映画をつくるだけでなく上映すること、見てもらうことすべてを愛情を込めて向き合っていた。そんな姿が僕にとって学ぶ存在だった。監督の意思を継げる人なんてだれもいない。学んで、映画を観て感じていくことしかないと思う」と語りました。
千年の愉楽が若松作品初出演となった高岡さんは「騒動を起こしてしばらく現場から離れようと思ったが、脚本を見たら自分の役に感情がすごく入っていった。監督はすごく人生経験のある方で、自分の悩みなんて大したことじゃないと感じ、役に向き合えるようになった」と振り返りました。
篠原さんは「付き合いはじめて40年。オレの役は台本にもなく、もちろんセリフも書いていない。『キャタピラー』では現場に呼ばれて行ったら、そこでツツジ食ってろといわれた。オレなんて生きている書割みたいなもの」と会場を笑わせました。
撮影の辻さんは「若松監督の演出方法は、芝居をしてもらうというより役を生きてもらうというやり方。『役の中を生きている人間を撮ってほしい』と言われた。ドキュメンタリーのように何が起こっても対応できるようにした」と現場の裏話を披露しました。
(ほしたつ)
若松孝二国際映画祭 2013年2月23日~3月3日開催
◆会 場:新潟・市民映画館シネ・ウインド
(新潟市中央区八千代2-1-1 電話:025-243-5530)
◆料 金:「千年の愉楽」は一般1000円、学生・シニア700円
ほか3作品は500円均一
◆上映作品(上映日程略称):
・千年の愉楽(千年)
・11・25自決の日・三島由紀夫と若者たち(自決)
・キャタピラー(キャタ)
・実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(あさま)
◆上映日程:
○2/23(土)10:00(あさま) 13:40(キャタ) 15:35(自決) 18:00(自決)
○2/24(日)10:00(自決★1) 12:40(千年★2) 15:20(千年) 17:40(キャタピラー★3)
(ゲスト舞台あいさつ)★1=12:00~12:20 井浦新さん、篠原勝之さん ★2=12:40~13:00 高岡蒼佑さん、井浦新さん ★3=17:40~18:00 県内フィルムコミッション関係者
○2/25(月)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(自決) 17:30(キャタ) 20:00(千年)
○2/26(火)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(連合) 20:00(千年)
○2/27(水)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(キャタ) 17:30(自決) 20:00(千年)
○2/28(木)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(あさま) 20:00(千年)
○3/1(金)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(自決) 17:30(キャタ) 20:00(千年)
○3/2(土)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(千年) 17:30(千年)
○3/3(日)10:00(千年) 12:30(千年) 15:00(千年) 17:30(千年)
問い合わせ:安吾賞事務局 電話025-226-2563
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